経験サンプリング法

exkumaの使い方の詳細な説明は、こちらをご覧ください。 東洋大学・尾崎由佳教授によるexkumaの使用説明書

経験サンプリング法とは

リサーチャーにとって、調査は最重要なツールのひとつです。特に、調査対象者の生活の様子や考え方・感じ方・ふるまい方などについて尋ねる設問セット(アンケート)を用意し、対象者自身に回答してもらうという調査手法は、従来のリサーチにおいて王道ともいえる方法でした。

しかし、こうした「ワンショット調査」と呼ばれる調査のしかたには、限界があります。それは、調査対象者の生活の流れのほんの一部を「輪切り」にして取り出した、一断面に過ぎないということです。あるいは、一日の終わりにこれまでの流れをふりかえって回答してもらった場合でも、それは過ぎ去ったことに関する「記憶の断片」に過ぎず、すべての情報を正確に、そして鮮明に思い出すことができているとは限りません。

こうした限界を超えるべく、「経験サンプリング法(experience sampling method: ESM)」と呼ばれる調査法が開発されました。これは、調査対象となる人々が「いま」を生きる様子を、リアルタイムに、そしてハイレゾリューション(高解像度)で記録する方法です。

具体的に説明しましょう。

経験サンプリング法(ESM)とは、日常生活を送っている調査対象者から、一日数回ずつ×数日間にわたって繰り返しデータを取得するという調査手法のことです。1970年代の開発当時には、調査対象者が日記帳とタイマー付き時計を持ち歩くといったアナログな方法が取られました。それから約半世紀が過ぎた現在では、スマートフォンを通じて質問フォームに回答することや、ウェアラブル端末を通じて生理指標を測定することなど、高度なテクノロジーを駆使した方法が主流となっています。

メリット:

人々が日常生活の中で経験するできごとに関して、あいまいな記憶に頼ることなく、リアルタイムでデータ化することができます。さらに、このデータ収集を高頻度で繰り返すことによって、時系列的な推移を追跡することが可能になります。

調査対象者が、いつ、どこで、何を考え、どのように感じ、いかなる行動をしているのか? こうした思考や感情や行動は、時間経過や経験に応じて、どのように移り変わるのか? これらの問いに答えることができるのが、経験サンプリング法(ESM)の特長です。

デメリット:

調査の実施には、高度なテクニックを必要とします。特に、日常生活を送っている調査対象者に対し、スマートフォンを通じて回答を求めるかたちの調査の場合、多くの技術的な壁が立ちはだかります。「調査回答の時間になりました!」と回答のタイミングをお知らせすること、お知らせをしてから一定時間以内に回答受付を締め切ること、ひとりの対象者から得られたデータを時系列的追跡が可能なように記録していくこと、などなど……

多くのリサーチャーが経験サンプリング法(ESM)のメリットを認識し、大きな魅力を感じていたにもかかわらず、このテクニカルな「壁」を乗り越えることができずにいました。

日本国内でリサーチに携わる人々にとっては、さらに高い壁が立ちはだかっていました。海外ではいくつかのESMツールが開発・提供されてはいたものの、日本語という言語形態、そして国内の通信環境には適さないものがほとんどでした。したがって、日本のリサーチャーにとっては、泣く泣くあきらめざるを得ないという状況が続いていたことになります。(ただし、既成もしくは自前のツールに様々な工夫を加えて、莫大な労力と費用をかけて実施に踏み切るという決心をされたリサーチャーも、過去にはおられるようです。)

そこに追い打ちをかけるように、世界中をコロナ禍が襲いました。リサーチャーにとっては、調査対象者と対面してインタビューやアンケートを行う機会が大幅に制限され、オンラインでのデータ収集に比重を置かざるをえない状況になったのです。

こうした状況にあっても、人々が「いま」を生きる様子を、リアルタイムに、そしてハイレゾリューション(高解像度)で記録するためのよい方法はないだろうか……と、多くのリサーチャーが頭を悩ませていました。

こうした逆境の中、そして経験サンプリング調査のニーズが未だかつてなく高まっている状況に対して、exkumaは最適なソリューションを提供いたします。

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